絵画研究2 カマイユ技法|ムサビスクーリング

武蔵美スクーリング/川口先生の講義 備忘録

ずっと前からやってるブログBorn To Lose . Live To Winでは、遊び、大学、バンドなど色んな事を適当に綴ってます。ムサビ在学中の絵に関する記事はこちらのサイトにコピペして行こうと思います。大切だと思い書きとめても、遊び等の記事に埋もれ見返さないんじゃ意味ないからさw

2019/08/13投稿の記事

大学(武蔵美)スクーリングの話。
7/30から8/11まで朝9時から夕方6時とか7時まで絵を描いていました。6日間行って1日休み、また6日間というハードスケジュール。毎日35度とかの猛暑でしたが体調を崩すこともなく元気に楽しく終えることが出来ました。(*・ω・)ノ

絵画研究2 7/30~8/4 6日間

学生は40人くらいいました。日本画や油絵などのファイン系の学生に混じりデザイン系の学生は僕だけでした。w

以下、忘れないよう自分のためにメモしておきます。

絵画研究2 レンブラントやルーベンス などの模写をしつつ古典技法(17世紀のカマイユ技法)を学ぶ。
川口先生、小尾先生、中尾先生、他
模写を通して技法を学ぶ。オールドマスターが何を考え描いていたか考えながらやる。単なる塗り絵にならないように。カルチャー教室のように表面的に似せて描くことだけが目的ではない。

Q:「グリザイユ」と「カマイユ」ってなんですか。
A:どちらも単色技法のことをさす言葉です。グリザイユは白黒による無彩単色、カマイユはアンバー、バーントシェンナのような褐色による有彩単色によって描画します。モノクロやセピアの写真のようにモノトーンの画面です。

油画の下層描きにこの技法を応用すると、フォルムと色彩に分業された画面構築をすることができます。つまり、グリザイユやカマイユで光と形、空間を表現し、その後で着彩して色彩を表現します。形象と色彩を一度に表現するのはむずかしいものですが、この技法をつかえば、まず色彩にとらわれずに描きこんだ後に、今度は色に集中して描くことができます。下層のトーンが上層の色彩に微妙な変化をあたえますので、混色をあまりしなくても複雑なニュアンスを出すことができます。「色」の表現に悩んでいる人にはおすすめしたい技法です。
絵の具メーカーKUSAKABE web site より

初日

F10シナベニヤパネルに下地を塗ります。下地は白亜と膠(ニカワ)です。板が白くなるまで塗ります。3~4度塗りしました。乾いたら紙やすりをかけツルツルにします。このツルツルが精密な絵を描くのに都合が良いのです。塗っている最中にハケの毛が抜けてくっついちゃうけど手で取らない。やすりがけで取れるので。
午前中に白塗りが終わりお昼休憩。その間クーラーのきいた教室でさらに扇風機で風を当て乾かす。
IMG_8632

IMG_8633

乾いたら茶色の液体を塗った。茶色液体の正体はブラックオイル、テレピン、油絵の具(バーントシェンナ、バーントアンバー)ちなみにこの下地塗り(今回は茶色)はインプリミトゥーラ (伊:imprimatur)と言います。さらにこのインプリミトゥーラが今回の制作のキモになります。とっても大事!初めて聞く言葉だし、初めてやるし、この時点でまだよく分かっていないw

乾いたら名作を写す。先生みたいにサクッと形をとれないので、学生はチャコペーパーでアウトラインを写します。今回はデッサンの授業ではなく技法を学ぶ授業なので、ここ(デッサン)に時間は使いません。
名画はレンブラントやルーベンス など10種類の中から選べました。僕はレンブラントの「額縁の中の少女」。他にも軍人やおばさんなどがありましたが、6日間ガン見するので可愛い人がいいと思いこれにしました。制作中、先生に「難しいの選びましたね」と言われました。正面は難しいらしい。マジー。先に知りたい情報ですwww
IMG_8636

2日目

小尾先生の下層描きデモンストレーション。インプリミトゥーラの上にデッサンしていきました。先生は木炭などで下線を描くこともなくフリーハンドでサクサク描いていきました。ものの数分でこんなです。わお!僕の選んだモチーフだったのでラッキー。
IMG_8640

小尾先生
https://j1traveler.com/obi-osamu/

オイルはブラックオイル。ブラックオイルは生のリンシードに鉛白を加えて加熱したもの。(乾くのが早い)
IMG_8641

レンブラント(メーカー)のバンダイクブラウンをメインにしていました。初めて聞く色名です。白はシルバーホワイトです。
IMG_8642

午後はひたすら描きました。クラスが二つに分かれ、僕は中尾先生のクラスでした。

IMG_8654

3日目

全体が乾いていたので、全体に薄くブラックオイルを塗って、1日中ひたすら描きました。

IMG_8659

IMG_8663
これまでに使った色バンダイクブラウン、バーントシェンナ、ホワイト、イエローオーカー。オイルはブラックオイル。

顔など明るくしたい所はたっぷり白を入れます。暗い部分はあんまり暗くしないほうが良い。あとからそれ以上明るく出来なくなる。写真の状態ではNGです。白はもっと白く、暗い部分は暗くし過ぎです。
それは後半になってやっと分かりました。なるほどそういう事だったのかと。w

これで下層塗りは終了。上塗りするのに乾燥の時間が必要だから明日は作業はお休み。

4日目

乾燥待ちです。講義を聴きました。
午後、小尾先生の上の層を塗るデモンストレーション。
数分でみるみる輝いていきました。感動です。

IMG_8665

IMG_8666

5日目と 6日目(最終日)はひたすら描く

肌色は最初に薄くイタリアンピンクを塗って、その上にローズマダーを薄く塗りました。パレット上で混色するのではなく、色を重ねていく事で深みが出ます。顔だけどんどん進めず背景も同時進行でする。髪や服の明るい部分はインプリミトゥーラ(下地の色)を利用するのが良い方法。僕の場合黒くし過ぎてしまったので、うまいこと下地が出てこなかったので、5日目の帰り際、明るくしたいところを白とイエローオーカー少々を混ぜた絵の具を明るくしたいところに塗って帰り、翌日その上から髪とか服とか塗りました。これは古典技法としては反則技なのであまりやってはいけないのですが、失敗した時のリカバーとして教えてもらいました。その事を「あらし」と言ってたかな。

完成
IMG_8676

メモ
・今回Silver Whiteを使ったんだけど、この時代はSilver Whiteしかなかったから
・絵の具のキャップを開けた時オイルが浮いてる時があるけど、それは余分なオイルだから捨てる。
・キャンバスから外して絵を丸める時は、絵を外側にする。(でもなるべく外さない方が良い)
・Pigment(顔料) + Emulsion(乳剤「水と油」) = Color(絵の具)
・今回のカマイユ技法は「白」が大事な役目を果たす
・川口先生は下地のニカワが石のように固くなるまで乾かす。2年かける。wow!
川口起美雄 http://profile.musabi.ac.jp/page/KAWAGUCHI_Kimio.html
・本当は下地作りは秋の終わりくらいかにやるのが良い。夏はよくない。ニカワにカビが生える。家でやるなら冷蔵庫に入れて乾かすのもあり。
・キャンバスにニカワはClackする。
・70℃の電熱器の上でやる。タマゴ1個に対し80cc(50ccでやめても良い)の乾性油(リンシードオイル)~250ccのニカワ水→これで、30号の大きさまでいける。
・古典によく使われる色
透明
赤、クリムゾンレーキ・ローズマダー
黄、ブラウンピンク、イタリアンピンク(ピンクという名前だけど黄色です)
青、ウルトラマリンブルー

不透明
赤、カドミウムレッド・バーミリオン
黄、イエローオーカー
青、コバルトブルー

緑はビリジアン、白はシルバーホワイト

・上層塗りは豚毛じゃなく柔らかい筆で描く。安価なのもはナイロンなど。たぬきは柔らかい。
・唇の明るさが出ないのは、下地の白(silver white)が足りないから。
・顔のキワをくっきりし過ぎると顔が大きく見えるので、キワはぼかす。
・顔のハーフトーンを綺麗に。
・影に白を入れない。影の部分に温かみを感じさせるのは下のインプリミトゥーラ(茶)の効果で。
・人物と背景の境界線は一度で決めず、重なり合わせ(数回)で決めていく。

初めての技法で、覚える事もたくさんあって大変でしたが、とても楽しかったです。印象派が好きで油絵を始めた僕にとって古典絵画はそれほど興味がなかったのですが、今回の授業でとても興味が湧きました。今までは美術館に行っても古典的な絵画はほとんどスルーしていたのですが、これからはスルーしないでしょう。いろんな目を持つ事で人生の広がりが生まれるんですね。それは絵画に限ったことではないですが。

自分の中にない新しいものを知るって素晴らしい。

スクーリング中は先生、助手さん、学生たちと楽しく過ごしました。皆さん、ありがとうございました!

学食の担々麺、美味しいよ。
IMG_8674

コメント

  1. […] 絵画研究2 カマイユ技法|ムサビスクーリング […]

タイトルとURLをコピーしました