油彩画を始めて布キャンバスに描いてきました。今年は板にも描いてみようと思います。ホームセンターで適当な板を買ってきて描こうかと思ったんだけど、調べたらそれは良くないらしいです。油絵具を直接板に塗ると板が絵の具の油分を吸い込んでしまうので、艶が出なかったり、発色が悪くなったり、板が酸化して劣化したりするみたいです。ロクなことないじゃないか!調べてよかった、あぶね〜(汗)。
ムサビの授業で1度だけ板に描いたことあります。古典技法を学ぶ授業でレンブラントの模写をした時です。
デザイン学科だった僕はせっかくの美大だからファイン系の授業も受けておこう的な軽い気持ちだったせいや、初めて見るものばかりだったせいで色々と詳しく覚えてません(汗)今から思えばもったいない!川口起美雄先生や小尾修先生だというのに。しかし人生とはそう言うものですw
技法書を参考にします。
まず、板は画材屋に売ってるシナベニヤパネルという木製パネルを使います。ラワンベニヤパネルというのもありますが、これは主に油絵ではなく水張り用として使うみたい。そしてベニヤ板には直接描けないので、下地処理をします。それを地塗りと言います。表面コーティングみたいなもんです。
それでは、How to 地塗り
用意するもの
- 膠(にかわ)
- 白亜
- 顔料
- 空研ぎペーパー
- ボウル
- シリコンスパチュラ
- プラスティックのヘラ
- ビーカー
- ハケ
- マドラーやガラス棒
- 計り
膠水を作る
板に地塗りするものは白亜です。白亜に水を加えただけじゃ固まらないので、何かしら接着効果があるものを入れないといけない。それが膠(にかわ)です。膠の接着力を上げるには膠を水で膨らませ湯煎します。湯せんの温度は60度くらい。
地塗り液(白亜地塗料)を作る
膠水と白亜を混ぜて地塗り液を作ります。白亜2、膠水1、水1〜2、この分量で混ぜる。白亜に白色顔料を入れる場合は白亜の分量分のうちの半量までにする。(白色顔料の分量だけ白亜の分量を減らす)
例:白亜1、白色顔料1、膠水1、水1〜2
地塗り液を塗る
地塗り液ができたら泡が立たないようにゆっくり板(シナベニヤパネル)に塗る。表面に3回くらい重ね塗りする。裏面は1回。乾燥したらヤスリで表面を平にする。
まぁざっとこんな感じ。大まかにはわかりましたが。。。。
技法書を読んでも分からないことばかりです。僕のレベルの低さがうかがえますね (;´∀`)そんな時は人に聞くのが良い。幸運にも僕には質問にいつも答えてくれる友達(プロの画家)がいます。友達というか頼りになる僕の先生です。以下の記事は、先生に教えてもらった補足情報を忘れないようにまとめたものです。ちなみに技法というのは描くものによって変わってきたり、好みもあります。これが絶対正しいというわけではないです。もしこの記事を参考にする人は、その辺を考慮して読んでください。
湯煎の60℃キープって難しくない?
Q.技法書に書いてある60℃をキープするのは難しいですよね。そもそもなぜ60℃がいいのか?
これは60℃を超えると膠の接着力が低下することが理由です。ただ、湯煎するタイミングって、だいたい
- 膨潤した膠を完全に溶かす時
- 白亜などを膠水にいれて混ぜる中で、滑らかにしていく時
- 塗料作りや地塗り中、塗料が固まってきた際に温めなおして滑らかにする時
なんですよね。つまり、その都度湯煎するので、60℃以下の温度ではじめても、それを長時間キープはしなくても大丈夫です。あとは、地塗りを重ねる時に塗料が冷えて固まってくるのを防ぐためにお湯に容器をつけておくと便利ですが、それも冷えてきたらお湯を足す程度で大丈夫だと思います。
白亜とは?
白亜と石膏は同じもの?
地塗り液の比率は?
技法書に「例:白亜1、白色顔料1、膠水1、水1〜2」とあります。先生はどんな感じでやってますか?
白亜地塗料に入れるホワイトについて
Q.描きやすいように板の表面を白色にする為に地塗り液にホワイトを入れます。どんな白がいいのか?チューブの油絵の具でもいいの?
白色の顔料を入れます。個人的な意見として白の強さと毒性から考えるとチタニウムホワイトがいいかと思います。ホワイトを入れる場合は、どれくらい白い画面にするかで量を調節して、白亜をそのぶん減らして入れていくと良いです。ホワイトは入れるほど白い画面になりますから、試しながら自分に合った比率を探していくと良いです。あと、コツとしては顔料は混ぜる前にぬるま湯で軽く溶いてから塗料に入れると混ざりやすいです。
例えば、膠水1に対して1.4容量の白亜を入れる場合、そこにチタニウムを入れるなら膠水1:白亜1.2:チタニウムホワイト0.2といった具合です。
紙ヤスリについて
Q.パネルにヤスリをかけて表面を平らにするんですが、何番くらいがいいのか?
空研ぎペーパーをおすすめします。300~400あたり。それで表面を軽く整える程度にかけるも良いです。地塗りがうまくいかずに表面がでこぼこしていたら、あらめの紙やすりで削ってととのえてから、空研ぎペーパーで最後軽くやると良いです。表面は、なるべく地塗りを終えた時点で平滑になっていると紙やすりの工程が楽です。なので、「湯せん」でもあげた通り、作業中に塗料が固まらないように湯煎したり、もたついてきたらぬるま湯を足して塗りやすく調整してみて下さい。
前膠(まえにかわ)
いろいろ説明してもらった中に前膠という言葉が出てきた。何だろう?調べたら「支持体とその上に来る地塗り液を絶縁する層で、地塗り液の油分が板に染み込むのを防ぐ役割がある。通常は膠を水に溶かしたものを塗る。」という事らしい。前膠だけ両面やって、地塗りは表面のみという方法もアリ。(技法書には前膠については書いてなく両面地塗りするとのこと)
ジェッソ(下地材)について
Q.板に油彩画というのを調べてたらジェッソというのがあるらしい(使った事ないです)簡単だし一瞬これでいいじゃん!と思った。白亜と膠で作る塗料と何が違うのか?
ジェッソはアクリルエマルジョンをメディウムとして使用した地塗り塗料です。白亜地等とおなじ部類に属します。違いはアクリルエマルジョンか膠どちらで溶いているかです。ちなみに前膠の代用としてはジェルメディウムになります。こちらもアクリル樹脂系です。
大きな違いはメディウムです。アクリルジェッソ地の方が白亜地よりも絵具の吸い込みが弱いです。吸い込みとは油の吸収力の事で、描画にも影響してきます。吸収量が少ないと画面の油分が多くなりすぎてしまいますし、吸収力が強すぎると油を吸いすぎて絵具の固着力が弱くなります。ジェッソも使いやすいですが、地塗りによっても画面の印象も変わります。油絵具の吸収が弱い事でアクリルジェッソを避ける人たちも少なくないです。その反対で好む人もいます。
白亜地や石膏地はもともと吸収性の下地なので、その厚みや塗料の処方で吸収力を調整することができます。膠に対して粉の量が多いと吸収力が増しますし、厚くのせればさらに吸い込みが強くなります。そこの調整で好みの地をつくることができる点で、好むアーティストも多いと思います。
個人的には膠水1に白亜やチタン白などの粉を1.4容量、それを薄く3層から4層ぐらいが好みです。これも作家によって異なるので、自分の好みの処方を探ってみるといいと思います。
その他
と、まぁこんな感じです。現時点では何も揃っていません。近日中に画材屋さんに行って買ってきます。実際に作業したらその様子も記事にしてアップしようと思ってます!
コメント
[…] 油絵を板に描く為の下準備(支持体に地塗り)の続きです。今回は初めて実際にやってみました。忘れないようにメモしておきます。参考になれば嬉しいです。 […]